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【連載】先生、これは英語でどういうんですか?
−生徒が間違えやすいことを、本質的な意味から考え、指導に生かす

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Q. [    ]に何を入れますか。
    ビンの底    the bottom [  ] a bottle
    ビンのラベル the label [  ] the bottle

答えは…コラムの中で。

第3回 なぜ、ハーバード大学はHarvard Universityで、オックスフォード大学はthe University of Oxfordになるの?
慶應義塾大学 田中茂範


第2回コラムではin、at、onについて取り上げました。今回は英語でもっともよく使われる前置詞、of です。ofといえば、ほとんどの高校生が日本語の「の」を連想するようです。しかし、その意味をどう理解すればよいでしょうか。of=「の」でうまくいく場合もありますが、そうでない場合のほうが圧倒的に多くあります。日本語の「の」は「名詞+の+名詞」の形で、「ビンのラベル」「ドアの鍵」「雨の日」といった具合に、2つの名詞概念を結合することができます。

英語では、「ビンのラベル」は of で表現することはできず、the label on the bottle と on を使います。同様に「ドアの鍵」も the key to the door  であって、of ではありません。ちなみに「雨の日」は前置詞を使うというより、a rainy day と表現します。では、「ビンの底」はというと、 the bottom of the bottle と of で表現することができます。

そこで、of をどう理解すればよいかですが、以下の図のように、「何かから出ると同時にその何かに帰属するという関係」を表すと考えるといいと思います。

【コア】(Aが)Bから出ると同時にBに帰属して

of

帰属の部分と出所の部分の双方が含まれるところにofの特徴があり、そのどちらに強調点が置かれるかによって異なった意味合いの用法が生まれるのです。

具体例を見てみましょう。the top of the mountain (山の頂上)の頂上は山の一部ですが、the top of the mountain と表現することで、the top に話題としての注目が行きます。しかし、話題化された頂上は丘に帰属するという関係になることには変わりません。

the eyes of the bronzeやthe bottom of a bottle(ビンの底)のように「部分−全体」の関係を表す場合にはofを使います。一方、「ビンのラベル」や「ドアの鍵」におけるラベルや鍵はビンやドアを構成する一部ではないためofは使わず、それぞれthe label on the bottle(ビンに貼ったラベル)、the key to the door (ドアに合う鍵)のように表現します。

以下では、いくつか of を使ったおもしろい例をみていきます。

1. オックスフォード大学とハーバード大学

大学名で気になるのは、オックスフォード大学とハーバード大学を英語で正式に表すと the University of Oxford と Harvard University となることです。これは、オックスフォードが地名であることに関係します。地名だからそこに帰属する(代表的な)大学として the University of Oxford といえるのです。一方、ハーバードは地名でないので、the University of Harvard とは言いせん。シカゴ大学はthe University of Chicago で、ニューヨークのコロンビア大学は Columbia University というのも理解ができます(ただこれは絶対的な規則ではなく、インディアナ大学は Indiana University といいます)。

2. die ofとdie from

of をさきほどのコアのイメージで理解しておくと、 「…が原因で死ぬ」という場合、die of cancer(ガンで死ぬ)、die of hunger(飢え死にする)のような die of における of の選択が理解できるはずです。of は原因と死が切っても切れない関係を表すからです。die from は die from working too hard のように「過労」が起因となって、ある経過を辿って死に至るという意味合いになります。つまり、起点なのでなんらかの経過を辿ってという意味合いが from にはあります。そこで「傷が原因で死ぬ」という場合は die from gunshot wounds といいます。もちろん、死因が直接的か間接的かは難しい問題で、原因によって of か from が決まるわけではありません。むしろ、「そもそもの元となる原因」なら from を、「(過程を含まない)直結する原因」として表現する場合には of を使うと考えるのが妥当だと思います。そこでdie from cancer という言い方も可能です。ただ、その場合、病気を患った過程が連想されるでしょう。

3. It's five of six.とIt's five to six.

「6時5分前」だと It's five to six. ともIt's five of six. ともいいます。five to six だと toがあるため「6時の手前」だとわかりますが、どうしてfive of six で「6時5分前」という意味になるのでしょうか。つまり、どうして「6時5分過ぎ」にならないのでしょうか。ここでofのコア図式を当てはめてみましょう。すると、「全体」が6時で、「部分」が5分であるという関係になります。つまり、6時になるのにあと5分ということです。

4. It's kind of you …. と It's important for you ….

It's kind of you to give up your seat for an elderly person. のof についても一言。これは「年配の人に席を譲るとは、君は親切だね」という意味です。It's important for you to give up your seat for an elderly person. という言い方もあります。of you と for you の違いは何でしょうか。まず、kind of you は相手の人柄を表現しています。人柄というものは誰かに帰属するものであり、その人柄が現れているというのが It's kind of you です。だから、It's kind of you まで一気にいってから、その根拠となることを to give up your seat for an elderly person と述べる手順になります。一方、It's important (それって重要だ)は何かに対する話し手の評価です。そこで、It's important で息継ぎをして、for you to give up your seat for an elderly person と表現することが可能です。そのように表現することで、「それって重要な、君にとって、年配の人に席を譲ることは」といった意味合いになります。


最後に、AとBが抜き差しならない関係を示すことから、その応用としてAとBのいろいろな意味関係を示すことがあります。a feeling of gratitude は「感謝の気持ち」、a theory of communication は「コミュニケーションの理論」となり、日本語では「の」を使いますが、英語の of はそれぞれ、前者が「感謝という気持ち」という意味でa feelingの中身をgratitudeで説明する形になっており、後者では、「コミュンケーションについての理論」という意味でこのofは関連の意味合いを示します。しかし、いずれも of の「切っても切れない関係」から派生した意味合いであるということが大切です。


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