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【連載】先生、これは英語でどういうんですか?
−生徒が間違えやすいことを、本質的な意味から考え、指導に生かす

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Q. 次の(  )の中にonが入るのはどれでしょうか。
1. The cat is (  ) the sofa.ソファの上に猫がいます。
2. There are apples (  ) the tree.木にりんごがなっています。
3. Can you stand (  ) your hands?逆立ちできますか?
4. We are (  ) the bus.バスに乗っています。(移動中)
5. I have a test (  ) Monday.月曜日にテストがあります。

答えは…コラムの中で。

第6回 Onは「〜の上に」ではないんですか?
慶應義塾大学 田中茂範


第5回コラムでは基本動詞のspeakとtalkを取り扱いました。今回は、英語で使われる頻度の高い前置詞onを取り上げます。「on」=「〜の上に」と訳しがちですが、それだけではとらえられない、onの本質的な意味とその広がりについて解説します。

1.「on」=接触(触れていること)

図1

on の本質的意味(コア)は「接触」(図1を参照)です。「接触」と一言に言っても面への接触もあれば、点的な接触もあります。本質的な意味からとらえると、一見例外的な使い方に見えるものも、すべて説明ができます。ここでは「接触」から広がるさまざまな意味を見ていきたいと思います。

1-1.面への接触

まず、on の典型例は、図2に示すような水平面への接触です。

図2

<用例>
・There is an apple on the table.
  (テーブルの上にりんごがあります)

この場合、「on =〜の上に」という意味として理解できます。

一方で、図1から分かるように、onは垂直面への接触や、水平面といっても天井のような面の下側で接触しているものも同時に表します。ですので、onには単純に「〜の上に」だけでは表せない意味があります。以下がその例です。

<用例>
・the fly on the wall / the ceiling(壁の上/天井にいるハエ)
・the steam on the car window(車の窓のくもり)
・the shadow on the wall(壁の影)

1-2.点的な接触(点として触れていること)

次に、接触する先が面というよりもむしろ点というほうがふさわしい場合があります。

図3

<用例>
・a fish on the hook(釣り針にかかった魚)
・apples on the tree(木になっているりんご)

a fish on the hook では、釣り針に魚がかかった状況を「接触」として表しています。apples on the tree も同様に考えることができます。図3のようにリンゴの茎の部分と枝の関係を「接触」としてとらえているのです。

それではここで問題です。

(  )の中に前置詞 on/ at /inのいずれかを入れましょう。

・She has a diamond ring (  ) her finger. (彼女は指輪をはめています。)

ここではon が正解ですが、日本人学習者はatやinを誤用する傾向があります。これは「on =〜の上に」と理解しているために起こる典型的な間違いと言えるでしょう。この用例は、面への接触とも、点への接触ともとらえることができます。

2.接触(触れていること)から広がる意味
2-1.水平面への接触から広がる意味:「支える」、「乗り物に乗る」

(1)支える(support)

水平面への接触では、X on YのYはXの「土台(支えるもの)」としての役割を果たします。a bottle on the table (テ−ブルの瓶)といえば、the table が土台として a bottle を支えるという意味があります。そこから、on には「支える(support)」という広がった意味での用法があります。

<用例>
・Can you stand on your hands?
・I sleep on my back.

Can you stand on your hands?は「逆立ちできますか」です。「手で体を支えて立つ」から「逆立ち」になるのです。sleep on one's backは 「仰向けで寝る」ですが、「背中が支えになっている」ということですね。この「支える」の意味は比喩的にも展開します。

<比喩的用例>
・I can't fight on an empty stomach.
・We live on potatoes.

I can't fight on an empty stomach.(腹がへっては戦さはできぬ)という言い方がありますが、on an empty stomach は文字通り「すきっ腹を支えにして」という意味合いです。We live on potatoes.(我々はポテトを常食にしている)となると、ポテトが生存を支えているということから「依存する」という意味が生まれます。rely on 〜(〜を頼りにする)のon も「支えて」の on の応用です。

(2)乗り物に乗って

水平面への接触から「乗り物に乗って」という意味も派生します。動かない壊れたバスに乗り込むだけなら get in the bus で、We are in the bus. (バスの中にいるよ)となります。しかし、運行しているバスに乗るときは get on the bus が使われ、移動しているバスに乗っているときは We are on the bus. といいます。これは on the plane, on the boat, on the train でも同じです。ちなみに、搭乗のことをon board という言い方もします。飛行機に乗ったときなどにWelcome on board.という表現を聞いたことがある方もいるのではないでしょうか。この board は「板」の意味で、1-1.面への接触の用法の中の水平面への接触のon が生かされています。

<用例>
・We are on the bus/ plane/ boat/ train.

2-2. 点的な接触から広がる意味:「つながって」「連続して」

一方、「点的な接触」の場合は、電気のon / off(回路がつながると電気がつく、離れると電気は消える) のように、on は「つながって」という意味に広がり、「連続して」という意味も含まれてきます(図4参照)。

図4

<用例>
・Hold on a minute.
・The dog is on the leash.
・I keep on studying English very hard.
・I am on duty tonight.

電話で Hold on a minute. (少々お待ちください)は(このon は副詞ですが)「つながった状態をおさえておく」という意味です。The dog is on the leash. も「その犬はひもにつながれている」ということですね。on and on (連続的に)も副詞ですが「連続して」の典型例です。前置詞 on の「連続性」は、 keep on(…し続ける)、go on(…し続ける)などの表現に見られるばかりか、on duty(当番で)、on guard(警戒中で)、 on the go (活動中で)などの表現の背後にも読み取ることができます。ちなみに、on には次のような用法があります。

<用例>
・On reaching Tokyo Station, Bill made a phone call to the company.
  (東京駅に到着するやいなや、ビルは会社に電話をした。)

このon は as soon as とは意味合いが違います。as soon as だと「できるだけ早く」ということで到着して5分後でもかまいませんが、on は2つの動作(「東京駅に到着する」と「電話をかける」)の間に切れ目がないということ、つまり、連続して次の動作に入った(接触ということばを使えば、1つ目の動作と2つ目の動作には重なっている接点がある)ということです。

2-3. 接触から広がる「固定」の意味:話題と時間の固定

on の「接触」は接して離れないというところから「固定」の意味に広がることがあります。「インド経済について語る」だとtalk on Indian economy とtalk about Indian economyの両方の表現が可能で、on のほうが専門的な響きがあるといわれます。それは、「話題がインド経済に接して離れない」ということから「もっぱらインド経済について語る」となるからです。about だと関連・周辺的な話題にも触れる感じがします。

また、「接触」が時間に関して使われると、時間的固定(日時の特定)という意味合いが出てきます。曜日や国民の祝日やある特定の日付などを on で表現するのは、カレンダー上で固定されている(決まっている)からであると考えることができます。また、「ちょうどぴったり時間に間に合った」という表現はI got there on time.のようにin time(時間に余裕をもって間に合った)とは区別して使います。

<用例>
・I talk on Indian economy.
・I have a test on Monday.
・My friend will visit me on November 12th.
・I got there on time.

3.on の意味のまとめ

以上をまとめると、onの「接触」という本質的意味は、次のような意味的な広がりをもっていると言えます。


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