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中1後半に生徒をつまずかせないようにするために
「現在進行形の導入前・指導の中でしたいこと」

東洋大学附属姫路中学校・高等学校 加藤 京子


現在進行形の導入前にまず「be動詞/一般動詞」を整理する

中1の英語学習中盤に、生徒たちはbe動詞と一般動詞の区別が必ずしも完全でない状態で、「三人称単数現在形(三単現)」を学ぶことになります。否定文への書き換え操作をするときには、isn't かdon't かdoesn't かの選択に加え、一般動詞は-sがついているものを「原形に戻す」という操作が必要になり、生徒はますます混乱します。そこで「三単現」の学習の後、現在進行形に入るまでに1時間から2時間でいいので、be動詞と一般動詞を区別し、それぞれの否定文や疑問文の作り方を整理する時間を取りましょう。

まず、次のようなワークシートを与え、一般動詞/ be動詞を区別する学習をします。

次に黒板の中央に縦に線を引き、be動詞と一般動詞に分けてワークシートで使った20文を板書します。あらかじめ書いておいたカードを貼ってもいいでしょう。視覚的に左右2つに分けた状態で、否定文の作り方が「notを入れるだけ」と「don't/doesn'tを入れ、動詞を原形にする」の2通りしかないことを理解させるために次のように進めます。

  • 1)be 動詞/一般動詞それぞれの1文目の操作を板書しながら示す
  • 2)板書と同じワークシートを配布し、生徒各自で取り組ませる
  • 3)黒板に生徒に解答を書かせる(プリントを持たずに来て書くよう指示する)

be動詞と一般動詞の区別ができるようになった生徒たちに、次は、一般動詞に-sがついていれば否定文への書き換えにはdoesn'tを使うことと、「1つの文に動詞語尾の-sは1回だけ」に注目させます。このとき、下のCEのような文を含めます。Cでは生徒の中にはMy brotherという主語を見て機械的にdoesn'tを使う生徒もいるからです。brothersと主語が複数であること、すると動詞には語尾-sがついてないことに注目させます。Eの文では否定文にするとき、動詞likeの-sだけでなく名詞catsの語尾も除去する生徒がいます。名詞の複数形語尾は操作しないことを説明し、改めて「1つの文に動詞語尾の-sは1回だけ」を徹底します。中学1年生はこういう誤解をすると知って指導したいものです。疑問文の指導も同様に行いますが、板書する文は疑問文にしたときに不自然にならない文を用意しましょう。

黒板を大きく使って行うこの学習は教室ならではのものです。視覚的に整理しながら学べるので、生徒たちは「ああ、よくわかった」と喜びます。

この2分法を教えておくと、現在進行形はもちろん助動詞文、現在完了形、受動態の文も、動詞の最初の部分に「notをつけるだけ」すなわち「be動詞と同じ操作をするグループ」であると説明できます。また、一般動詞過去形の疑問文・否定文は、Did / didn'tを使うと過去の印がそこに示されているので動詞に-edなどの過去の印は要らないので原形にすること、つまり「1つの文に動詞過去の印は1種類だけ」と教えます。そしてdoes/ doesn't の操作と同じ原理であることを思い出させます。生徒は1回の学習で完全にできるようになるわけではありませんが、「否定文・疑問文の作り方は2通りしかない」という原則に立ち戻れることが大切なのです。

現在進行形は「実況中継」で指導する

ビデオを利用すると楽しいですが、制作に時間がかかります。絵を用意し、その絵についての実況中継という設定で、数人の人物の行動を描写する導入ならば簡単に用意でき、後の創作ライティングへの仕掛けにもなります。

1)リスニング・クイズ

公園でも教室でもまた家庭の居間でもかまいません。7〜8人の人物がさまざまな行動をしている絵を与え、英語の説明文を聞かせます。人物には番号をつけておきます。中学生が興味を持つ内容になるよう工夫すると、喜んで聞き取ります。

[例]It's Sunday afternoon. Who is Taketo? He is reading a comic book. He has a lot of homework, but he is not studying. Who is Miki? She is dancing in front of TV. She loves ●●(中学生に人気のアイドル名). Can you see Tomoka? She is singing. She is not dancing. Look at the sofa. Two cats are sleeping. The big one is Shiro, the small one is Maru. (以下略)答え合わせをしながら現在進行形の文を復唱させます。

  • T: Who is Taketo?
  • S1: No.5.
  • T:What is Taketo doing? Studying or reading a book?
  • S1Reading a comic.
  • T: Yes! Taketo is reading a comic book.
  • S1: Taketo is reading a comic book. (生徒はここで現在進行形の文を復唱します)
2)板書と文法説明・練習

He has a lot of homework. / She loves ●●(中学生に人気のアイドル名). などの文と対比しながら、be動詞+動詞ingの形に注目させます。この2つで「〜している」という進行中の動作を表すこと、be動詞が前にあるので「進行形はbe動詞が支配している。よって否定文・疑問文はbe動詞ルールである」ことを押さえます。

そして、肯定文の口頭練習をしっかりしたら、ワークシートを用いて、動詞をing形にすることと、疑問文や否定文への書き換え練習をします。その際、最初にI am busy now. / My cup is on the table.といった現在進行形ではないbe動詞文を数文つけておき、「be動詞ルール」を同じように適用できるものであることを生徒に認識させます。

3)ライティング練習

別の絵を用意し、現在進行形を用いて絵の人物を描写する英文を書かせます。動詞とそのing形、その他必要な語彙もヒントとしてつけておくと生徒はスムーズに書く練習ができます。ing形の作り方で生徒を悩ませるよりも、ヒントとして与え、気軽に使わせ、覚えていかせます。

教室で答え合わせをすると、同じ絵についてでも生徒により異なる描写文が生まれます。そういう答えが生まれるような曖昧な絵を混ぜておき、多様な表現を引き出すとよいでしょう。また、疑問文や否定文を添えて、2文〜3文で描写することや、現在形で説明を加えるとよいことも教えます。

(例)Is Tomoka watching TV, too? No, she isn't. She is sleeping.

4)創作ライティング(Creative writing)

白い紙を与え、上記1)、3)で用いたような大勢の人物がばらばらに何かをしている絵を描き、それを説明するライティングに取り組ませます。授業で途中まで取り組ませ、残りを家庭で完成させるようにします。絵を描くだけでなく、新聞や雑誌から切り抜いた写真を使ってもよいとします。ただし、見た人が不快になるような絵や英文は書かないことを約束させます。ここに紹介する生徒作品では、大好きな物語の世界へ友人とともに入り込み、遊びに興じている姿が生き生きと描かれています。20名もの友人が登場する20文を超える作品です。(作成した生徒に了解を得て掲載しています。また、名前は架空のものに変えています)
This is Harry Potter World. I am flying now. Haruki is flying, too. We can see our friends. Kota is eating Every Flavor Beans, hyakumi beans, and Chika is drinking Butter beer. Akito is chasing chocolate frog, kaeru choko. (一部略)
Yuji is doing mischief. He is wearing a magic coat and other people can't see him.

生徒は be動詞+動詞ingという形の操作を覚えるだけで、現在進行形が理解できるわけではありません。野球好きの生徒は球場でゲーム観戦中という設定でお気に入りの選手を登場させて書きます。好きな場面を設定しそれを説明しているうちに、意欲が湧きどんどん書いていきます。その過程で教師がアドバイスし、既習事項も用い、現在進行形と現在形を使い分けて表現するよう導いていき、生徒は初めて現在進行形が理解できたと言えます。

定期テスト

定期テストでは「ing形への動詞の語尾変化」を正しくできることよりも、現在形と現在進行形を区別して読み取る、書くができるかどうかを評価したいものです。生徒の中には、ing形を学ぶまでに三単現語尾のつけ方play‐plays、 study‐studiesの違いで悩んだ苦労があったりするからか、素直にingをつければよいstudyingを studing / studiing などとする者もいます。run‐running 、swim ?swimmingと子音字を重ねる操作も、慣れるまではうっかり忘れがちです。現在進行形を習った直後の定期考査では、多肢選択問題で正しい語形変化を見せておき、それを利用して書き換え問題やライティングでstudying / running / swimmingと正しく書ければよし、とするのはいかがでしょう。機械的な操作の正しさだけにこだわるのではなく、その文法事項の意味を理解し、それを積極的に楽しみながら使う学習者に育てたいものです。

 
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