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【連載】先生、これは英語でどういうんですか?
−生徒が間違えやすいことを、本質的な意味から考え、指導に生かす

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Q, (   )には同じ単語が入ります。何を入れますか。
1.I (   ) a friend. 友だちができたよ
2.You (   ) a wrong number. 間違い電話です。
3.I (   ) angry. 腹が立った。
4.He finally (   ) arrested. 彼はついに逮捕された。

答えは…コラムの中で。

第10回 getは「得る」ではないのですか?
慶應義塾大学 田中茂範


get は日常会話のいろいろな場面で大活躍する基本動詞です。「相手にコーヒーを入れてあげよう」という場面で、I'll get you a cup of coffee.と言うでしょうし、電話がかかってきて「間違い電話です」と言いたければ、You got the wrong number.と言うでしょう。また、誤解している相手に「誤解しないでくれ」と言いたいときも、getを使ってDon't get me wrong.と言います。ここでは本質的な意味(コア)を理解して、getを使い切れるようにしましょう。

get のコア(=ある状態を得る)

日本語でも最近は「ゲットする」という言い方をします。日本語の「ゲットする」は「何かモノ(お金、スマホなど)を手に入れる」という意味に限定されがちですが、前述のように、英語のget には多彩な使い方があります。getのコア(本質的な意味)をひと言で言うと、「ある状態を得る」となります。これをI got some money.を例にしてイメージ図で表すと図1のようになります。

図1
図1

この「ある状態を得る」というコアは、「ある状態にする」と「ある状態になる」の2つの意味を含んだ表現です。問題は、「ある状態」とはどういう意味か、ということです。

具体例で考えてみましょう。図1で想定しているI got some money. と言えば、「お金を手に入れた」ということです。日本語の「お金をゲットした」ということですね。コアを使って説明すれば、「お金を手にする状態を得た」ということです。「お金を持っていなかった状態から、お金を持っている状態にする(獲得する)」ということです。ここには変化が感じられます。これが「ある状態にする」のgetの典型例です。単に「お金を持っていた」ということであれば、I had some money. と表現します。「一等賞をとった」は She took first prize. とShe got first prize. の両方が可能ですが、take だと「受け取った」、get だと「努力して勝ち得た」といった意味の違いがあります。get のコアを考えれば、すんなり理解できると思います。
なお、I got some money. と同様の例として、以下があります。

  • ・I got a friend. 友だちができたよ。
  • ・I got letters from the fans. ファンから手紙をもらったよ。
  • ・You got my message, right? ちゃんと僕のメッセージは受け取っただろうね。
  • ・She got an A on her final exam. 彼女は最終試験でAを取った。

ここで共通しているのは 、友だちや手紙などを持っていなかった状態から、持っている状態にする、「『X HAVE Y』の状態にする(獲得する)」ということです。

次に「ある状態になる」という場合も見ていきましょう。She got sad. と言えば、「彼女は悲しくなった」ということです。これも She was sad. 「彼女は悲しかった」とは違いますね。She got sad. には「ある心理状態(悲しくなかった状態)から悲しいと感じる状態へと変化した(状態になった)」ことが含まれています。これが「ある状態になる」の get の例です。She got sad. と同様の例には以下があります。

  • ・I got angry. 腹が立った。
  • ・He's getting old. 彼は年をとってきている。
  • ・It gets cold here around the beginning of October.
  •  この辺りは10月の初めには寒くなる。
  • ・We'll get there soon. すぐにそこに到着します。
  • ・I'll get home by six. 6時には家に着きます。

I got angry.とIt gets cold here around the beginning of October.は「get + 形容詞」の例ですが、We'll get there soon. と I'll get home by six. は「get + 副詞」の例です。いずれにせよ、「『X BE Y』の状態になる」ということで共通しています。つまり、It gets cold. は「"It is cold." の状態になる」、I'll get home. は「"I am home." の状態になる」ということです。

なお、「get + 形容詞」の応用として、以下のような使い方もあります。

  • ・She got frightened when she saw the horror movie.
  •  彼女はホラー映画を見て怖がった。
  • ・She got dressed up. 彼女は着飾った。
  • ・He finally got arrested. 彼はついに逮捕された。

ここでも「『X BE Y』の状態になる」ことを読み取ることができます。例えば、He gets arrested は「 "He is arrested" の状態になる」ということで、He got arrested. は「"He was arrested."の状態になる」ことを結果として含んでいます。

get の応用例

このように get には HAVE とBEが意味的に関係するということは get の用法を理解するうえで重要です。「変化して、HAVE あるいは BE の状態を得る」ということです。このことを念頭に、I'll get you some coffee. という言い方を見てみましょう。「コーヒーをいれましょう」という意味です。しかし、この例では何を get するのでしょう。この例文に HAVE を入れて次のように分析すれば、意味関係がわかりやすくなります。

  • ・I'll get you some coffee. → I'll get [you HAVE some coffee].

つまり、「ある状態を得る」という際の「状態」は、[you HAVE some coffee]『あなたがコーヒーを手にする[飲む]』という状態のことです。そして、「私がそういう状態にする」というのがここでの表現です。I got some coffee. だと主語の「私」が[I HAVE some coffee] という状態にしたということですが、I'll get you some coffee. だと主語の「私」が[you HAVE some coffee]という状態にするということです。S get [X HAVE Y] の構文は次のように使います。

  • ・I got [her a new dress]. 彼女に新しいドレスを買ってやった。
  • ・Get [me a towel], will you? タオルを取ってくれないかい?

一方、BE も get の理解には不可欠です。Don't get your shoes dirty. という文は「靴を汚さないようにね」という意味ですが、ここでも何をget するのかを考えてみましょう。your shoes でも dirty でもありません。つまり、get [your shoes dirty] ということです。ここで、your shoes とdirty の意味関係を示すために BE を入れてみましょう。

  • ・Don't get [your shoes BE dirty].

すると、「『君の靴が汚れている』状態にするな」ということだとわかりますね。 get [X BE Y] の構文はいろいろな形で使うことができます。

  • ・I'll get [my blood checked]. 血液検査をしてもらおう。
  • ・I got [all the work finished] yesterday. すべての仕事を昨日完成させた。
  • ・I'll get [this report done] by tomorrow. この報告書を明日までに片づけよう。

I'll get my blood checked. では I'll get [my blood BE checked]. ということで、ここでも「『自分の血液が検査される』状態にする」というのが get [my blood checked] という表現です。
このように get には BE と HAVE が関係しており、get [X Y] の構文だと [X HAVE Y] か [X BE Y] が想定されていると考えるとよいですね。

なお、冒頭の Don't get me wrong. についても、Don't get [me BE wrong]. であるという意味関係を考えれば、「『私が間違っている』という状態を得るな」ということから、「誤解するな」といった意味合いになることが理解できると思います。

 

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