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【新連載】小学校英語で行うリーディングの基礎指導とは

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第3回 フォニックスって何?
青山学院大学 アレン玉井 光江


 新学習指導要領において、3、4年生対象の外国語活動ではアルファベットの文字の “名称の読み方” を、そして5、6年生対象の外国語科では “文字が持っている音” を指導することになりました(小学校外国語活動・外国語研修ガイドブック、p.17-18)。
 後者の文字とその音の関係を知ることをalphabetic principleと呼び、それを教える教授法のことをフォニックスと呼びます。例えばこの教授法では、Hを、アルファベット読みでエイチと教えますが、音としては /h/、「ハ」と似た音で寒いときに手に息を吹きかける感じの音で、H/h という文字と、その文字の音 /h/ を意識的に教えていきます。フォニックスにはさまざまな種類があり、その代表的なものがシンセティック・フォニックス(synthetic phonics)と呼ばれ、一つ一つの文字とそれに対応する音を教え、その知識で単語が音読できるように指導していきます。この指導により、P・p は /p/ (プ)、I・i は /ɪ/ (イ)、G・gは /ɡ/ (グ)と学習し、それをあわせて pig /pɪɡ/ と単語が音読できるようになります。

英語圏の研究ではフォニックスが効果的なのは読み指導の初期段階であり、指導はその場限りのものではなく、体系的であることが大切であると報告されています(Ehri,2006)。日本でフォニックスを導入する場合は、色々考慮しなければいけないことがありますが、中でも下記の2点には特に気をつける必要があると思います。

  • (1)フォニックスを導入する前に、学習者が十分なアルファベットの知識(大文字・小文字)を持っていること。つまり文字とその名前に関する知識を持っていることが前提条件になります。
  • (2)フォニックスを指導する前に、児童が話されている言葉の音構造を理解する力である、音韻認識・音素認識能力を十分に持っていることを確認します(コラム第1回を参照)。これもフォニックス指導の前提条件です。

 前述したようにフォニックスは体系的に、また継続的に実施されなくてはいけません。それを可能にするカリキュラムを開発し、小学校ではどこまでを教えるのかを十分吟味し、中学校と連携して取り組んでいく必要があります。

 文部科学省が作成した『Hi, Friends! Plus』デジタル教材には、色の名前を使い、初頭音(単語の最初の音)とその文字をあわせる活動があります。例えば、赤色のアイコンを押すとredの最初の音rの文字が表示されるようになっています。また、「仲間の言葉を集めよう」という活動ではアルファベット26文字があり、それぞれの文字をクリックするとその音で始まる単語が、また2回クリックするとスペルも画面に出てきます。

 来年度より配布される高学年対象の新教材『We Can!』 には、『Hi, Friends! Plus』にも収録されているジングルという教材があります。これは例えば /biː/, /b/, /beər/  (ビー、ブ、ベア)と音が聞こえ、映像では文字 B/b とクマの絵が出てきます。アルファベットの文字の名称読み、音読み、そしてその音が最初に含まれている単語が、A〜Zの26文字、それぞれ用意されています。6年生になると継続して初頭音を使って文字とそれに対応する音(例:公園(park)とピザ(pizza)の絵と p)を復習し、その文字を書くことで文字と音との関係をより明示的に学習していきます。

 このような活動を行っていかなければ、子どもたちは CATを /siː/ /ei/ /tiː/と名前読みはできても、/kæt/と読むことができません。cat 全体を音とあわせて覚えていく whole word method方式 ※で多くの単語を覚えていくには限界があります。フォニックスは英語のリーディングの初期段階でしっかり時間をかけて実施する重要な教授法です。

次回は、音韻認識能力からフォニックスへ移る活動として、音素体操を紹介します。

※よく行われるのは1つ1つの文字と音との関係から単語を読んだり、書いたりするのではなく、つづり全体を覚えていく方式

 

引用文献
Ehri, L. (2006). Alphabetics instruction helps students learn to read. In Joshi, R. M & Aaron, P. G. (Eds.). Handbook of Orthgraphy and Literacy (pp649-677). New York,NY: Routledge.
文部科学省. (2017) 『小学校外国語活動・外国語研修ガイドブック』
http://www.mext.go.jp/a_menu/kokusai/gaikokugo/__icsFiles/afieldfile/2017/07/07/1387503_1.p

 

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