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今回は「研究ノート」をご紹介いたします。「研究ノート」は、ARCLEの研究理事・研究員が現在注目する自由なテーマを執筆するコーナーです。初回は上智大学 吉田研作先生です。

日本の英語教育における評価基準について
上智大学 吉田研作先生


現在、最も話題になっている分野の1つは、日本における言語政策の土台となるべき基準の制定だろう。TOEFL iBTの結果等を見ていると、どうして日本人の英語力が、同じEFL環境にある他の国の人と比べてこんなにまで低いのか、ということが気になる。学習指導要領の改訂に際して、日本人の英語力、日本における英語教育の在り方について、さまざまな角度から調査がされてきた(文部科学省の「『英語が使える日本人』の育成のための戦略構想」に関する研究グループの報告書等1参照)。また、ベネッセのGTEC for STUDENTSを利用した国際比較調査2も毎年のように行われてきた。そして、これらの結果を基に、さまざまな提言がなされ、それが今回の学習指導要領に反映されるに至り、例えば小学校からの英語活動の導入から、高校の英語科目の大幅な改編まで、色々な努力がはらわれてきた。

しかし、今回の学習指導要領の改訂において足らないところがあるとすると、その最も顕著なものは、SELHi事業の成果として大きく取り上げられた、Can-do statementsの作成と、それをベースにしたカリキュラムや評価基準策定3への動きが、ほとんど取り入れられなかったことだろう。英検も独自のCan-do4を提案したし、CEFR(Common European Framework of Reference for Languages: learning, teaching, assessment)5が果たす外国語教育への役割については、世界中で何らかの形で論議されていると言っても過言ではないだろう。

世界共通のスタンダードが果たして本当に作れるかはわからないが、日本が置かれている「国際社会」で必要なスタンダードの研究は、今後ますます必要になるだろう。


1 文部科学省 中央教育審議会初等中等教育分科会 教育課程部会 外国語専門部会(第13回)議事録・配付資料(資料3-2)
http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/siryo/015/06032707/005.htm
Benesse教育研究開発センター 教育フォーカス 調査データクリップ!子どもと教育 英語教育 〜第1回〜
https://berd.benesse.jp//berd/data/dataclip/clip0014/index.html
2 2006年実施調査 東アジア高校英語教育GTEC調査2006
https://berd.benesse.jp//berd/center/open/report/eastasia_gtec/hon/index.html
3 GTEC for STUDENTS Can-Do
http://gtec.for-students.jp/cando/
4 https://www.eiken.or.jp/about/cando/cando.html
5 http://www.coe.int/t/dg4/linguistic/Source/Framework_EN.pdf
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