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第1回目のコラムで、L1フィルター、つまり、英語学習において日本語の影響によって間違いやすいことの話をしました。英語学習は日本語の影響を受けることが避けられないため、日本語との単純な対応では英語の表現を十分に理解することはできないというのがそこでのポイントでした。
日本語では「(曜)日」も「月」も「時刻」にも助詞の明確な使い分けはありません。しかし、英語では「6時に」は at six、「午前中に」は in the morning、そして「クリスマスに」はon Christmas Dayと、日本語では同じ「〜に」でも、英語ではat、in、on を使い分けます。ここで必要なのは、どうして英語ではat、in、on を使うのかということをそれぞれのコア(本質的な意味)を通して理解することです。
まず、inとatの違いに注目しましょう。
inの本質的な意味(コア)は「空間内に」で、「幅」としての時間に使われます。「幅」といっても「その時間の中で(に)」と内部に視点が置かれる場合に用いられるのがポイントです。一方、atのコアは「ところ(場所)」であることから外部の視点で時間をとらえることになります。
at nightは、「時間帯としての夜」であって、in the morning、in the afternoon、in the eveningのようにその時間帯の中に意識を置くことはできません。in the nightといえば「その中での活動の時間帯」といった意味合いです。これは、夜のとばりが下りた時間帯としてのat nightとは意味合いが異なります。時間の流れが意識されればinが、感じられなければatが使われると考えてもよいでしょう。at noon(正午に)、at midnight(深夜12時に)、at dawn (夜明け)などは、時間の流れというより時刻あるいは時間帯を表す表現です。
なので、コラムのタイトルにあるat nightとin the nightですが、at night は夜の時間帯を表し「人は夜眠る」という場合は People sleep at night. とat nightになります。表現としては at night が一般的ですが、夜の時間で何かをするということが強調されれば in the night を使うことができます。「暗闇でこそこそ悪事を働く人」のことを a thief in the night といいますが、「夜中に泥棒をする人」ということで in がピッタリです。
次に、at とonについて考えてみましょう。
「クリスマス期に故郷に戻る」だとI'm going back to my hometown at Christmas time. とatを使って表現します。「クリスマス期」は12月23日から12月26日ぐらいの幅のある期間ですが、外から見た時期(流れを意識しない時間帯)として捉えた表現だといえます。
一方、「クリスマスに」だとon Christmas Dayとonを使います。onのコアは「接触して」で、時間的には「固定して」という意味合いが派生します。すると、カレンダー上で固定されている日(特定の日)や意識の上で固定されている日を表すにはonがピッタリです。クリスマス、誕生日、曜日、国民の祝日、結婚記念日などすべてカレンダー上で固定されている日(特定の日)とみなされます。
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