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大文字に比べて、小文字を獲得するのに苦労している子どもたちをよく目にします。その理由には以下のようなものがあります。
大文字が左右対称で特徴をつかみやすい形のものが多いのに比べ、小文字は小文字といわれるだけあり、字が小さくなるため字形的に目立つところ(これを専門用語で弁別特徴distinctive featuresと呼びます)が少なくなり、認識が難しくなります。だから子どもたちはb-d、p-qを混同したり、jやiの点を忘れたりするのです。
大文字ではすべて4線の上3線に書けばよいのに対して、小文字では文字によって以下のように高さが異なります。
小文字の字形がわかっていてもそれらを正しく4線上に書けるかどうかはまた別次元のことで、子どもたちは平気で小文字の高さを気にしないで以下のように書きます。
よくある間違い
正しいもの
2020年度からは公立小学校で英語が教科になるようですが、できれば小文字の習得にはゆっくり、そしてしっかり時間をとって教えてあげたいですね。私はだいたい小文字の獲得には大文字の3倍の時間がかかると思って、指導しています。
英語を母語とする子どもたちを対象とした研究では、小学校の低学年のリーディング能力を左右するのは、アルファベットの知識と音韻認識能力であると報告されています。私が行った日本人児童を対象とした数々の調査結果からも、そのことが判明しました。また単語のスペルが理解できる力には、大文字より小文字の認識能力が強く関係していることがわかりました。確かに通常、単語は小文字で書かれているわけですから、納得がいく結果です。
しかし、小文字の理解度は大文字の理解度に大きく影響されていました。つまり大文字がよく理解できていた児童は小文字もたくさん理解していたことになります。小文字は先ほど述べた点から習得に時間がかかるため、丁寧に指導することが大事ですが、もちろん大文字も大切です。
子どもたちがある程度のスピードで正確にアルファベットが認識でき、そして書けるようになるまで、時間をかけて確実に指導することがとても大切です。
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