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前回は少し難しかったかもしれませんが、音韻(音素)認識能力について説明しました。今回は、この大切な力を培うために私が行っている活動のうち、主要なものを紹介したいと思います。文字を見せることもたまにありますが、基本、音だけで行う活動です。
外国語活動でもよく行われている「keyword」ゲームにやり方は似ています。児童はペアになり、聞こえてくる単語の最初の音が目標としている音ではないと、消しゴムを取るというものです。例えば、目標の音を/b/とし、指導者は「bear, book, baseball, baby」などと言います。そして「sky」など/b/で始まらない単語を言うと、児童は消しゴムを取ります。
音韻認識能力を高めるため、私はライム認識を高める活動を積極的に導入しています。この活動では目標にするライム(rime: 単語の母音、もしくは母音とそれに続く子音(群))を決めて、そうでないライムが出てくると、ペアで両手を上で合わせる、いわゆるHigh-Tenを行います。例えば、目標のライムを-at (/at)と決め、指導者は「cat, mat, hat, rat, fat」などと言います。そして「king」など異なるライムを言うと、児童はペアでHigh-Tenをします。どのペアが一番早く手を合わせられるかを競います。
これは最近発表された公立小学校第6学年用の新教材の中でも「Sounds & Letters」の主要活動として紹介されています。「消しゴムゲーム」同様、単語の初頭音(単語の最初の子音)に気をつけることで音素認識能力を高めようとする活動です。クラスを2つに分けて、目標とする音を決め、その音から始まる単語を時間内に言い合うというゲームです。私は児童が活動に慣れるまでは、「私対児童全員」にし、慣れてきたら「男子対女子」、または「1〜3班対4〜6班」など、クラスを2分割します。例えば、目標の音を/m/と決めて、「それではそれぞれ3秒以内で /m/から始まる単語を言いましょう。3秒以内で言えなければ負けになります。分かったらその場で大きな声で言ってください。ただし同じ言葉は言えません。先生から始めますね。 Monkey 3, 2, 1…(と自分が単語を言うとすぐ数字をカウントします)」
音韻(音素)認識能力を高めるために下記のようなワークシートも有効です。
(アレン玉井、2003, 2017)
参考文献
アレン玉井光江 (2003). Little Readers 1, 2. 小学館集英社プロダクション
アレン玉井光江 (2017). Little Readers 4. 小学館集英社プロダクション
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